静綺も大抵は穏やかだけど、照大ほどじゃない。

私も聖も感情の起伏が激しいから。


「うわ、桜嘉。何でいんの?」


目を瞬かせながら言った照大は、少し元気が無くて、

少し、苛ついてる。


「遅かった、から。」

カタコトな声が出た。

そして腕時計を確認した照大は、驚いた顔をして弓を片付ける。

「ごめん、すぐに着替えてくるから。」

「うん。」

弓道場の電気を消し始めた照大の後を追う。

男子の更衣室は弓道場のすぐ近くで、私もその前で待った。