「野宮雪子」


僕は、名簿リストに書かれた情報を流し読み、彼女を呼んだ。
野宮雪子は部屋の薄暗さとショートカットの黒髪で顔がよく見えなかったが、立ち上がって窓から差し込む闇夜の光によってようやく全貌をあらわにした。

身長は僕より幾分小さく、痩せ気味。

小さな顔に置かれたパーツはどれも完璧だった。
大きな二重まぶたの目、すっと伸びた鼻、笑っていない唇、形の良い眉。


美人だー。


僕はゴクリと唾を飲み、近づいてくる彼女にどぎまぎしながら、「面会だ」と低い声で言った。


「誰ですか?」


「え?」


「私に会いたいと言っているのは」