だいぶ頭痛と吐き気は治まってきて、楽になってはいるのだが、どうも教室に戻って授業を受ける気にもなれなかった。
校舎内をフラフラ歩いていると、俺が無意識に向かったのは屋上だった。


ガチャ。


空はどんよりと、今にも雨が降りそうである。
湿気を帯びた空気は、まるで俺の心のようだった。

決して晴れることのない、じっとりとした。


「んー…………」
俺は大きく伸びをした。
保健室にいたときから動くことを止めていた肺に、無理矢理空気を押し込めた。

「はぁー………」
体にあった全てを吐き出すように、思いっきり息を吐く。


これで本当に全てを吐き出せたらいいのに。

今思う感情全て。

溜まっていた空気と一緒に、この空に捨ててしまえればいいのに。


俺はそんな、非現実的な事を思いながら手すりの近くに寄り、空を見上げた。