俺には両親がいない。
母親は5年前にガンで。
父親は3年前に交通事故で。
今は兄貴と二人暮らしをしている。

これは、俺の今の考えを作った原因の一部でしかない。

両親を失ったこと。
もちろんこの世を怨んだし、失うものしかないって思った。

けど違う。
俺はもっと大事なもの。
色んなものを失ったんだ。




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キーンコーンカーン……


4時間目が終わり、昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。
なぜかわからないが、異様な頭痛と吐き気に襲われた俺は保健室に行くことにした。

あんなこと思い出すからだ。

今の自分を作った過去を思い出すとこうなる。
俺は何からも抜け出せないんだ。


「……失礼します。」
ドアを開けたが、そこには誰もおらず、静かな空間だけがそこにあった。

俺は人がいないことに安心して、入口近くのベッドにボフンと横たわった。


気持ち悪ぃ……


俺は静かに目を閉じた。