確かに夢香は一般的に考えると可愛いのだろう。
目もぱっちりしていて、セミロングの茶色っぽい髪も似合っている。
何よりスタイルが良い…らしい。
俺がどれだけこいつの男関係で巻き込まれたことか。

夢香は明るく人あたりも良いので、かなりモテる。
そんな奴と幼なじみってだけで、どれだけ男から怨まれたことか。
こいつは俺の苦労を分かっているんだろうか。


俺がこうやって、今までの苦労を思い出しながら憂鬱になっていると、やはりお構いなしに夢香は話す。
「まぁさー。夢も佑宇哉が幼なじみでかなり自慢だけどねぇー。」
「は?」
「佑宇哉って本当綺麗な顔してるもぉん。女の子にいつも羨ましがられるよぉ。佑宇哉のこと狙ってる子たくさんいるしぃー。」

初耳すぎるぞ。
モテても嬉しくないし。
というより、女に興味がない。
もちろん男にも興味はないが。

「そいつらに言っとけ。俺が付き合う可能性は1%もないと。」
「えぇ。可哀相だよぉ。………あ。そっか。弥紗のこと…」

バンッ!

俺はこれ以上夢香に話してほしくなくて机を思いっきり叩いた。
夢香は、しまったと言わんばかりに申し訳なさそうに前に向き直した。