「なぁーに?ため息なんてついちゃってー。」
「…別に。」
俺のため息を聞いて、前の席の山本夢香が独特の甘ったるい声で話しかけてきた。

夢香とは幼稚園からの幼なじみ……いや。ただの腐れ縁だ。

「何よー可愛くないなぁー。もっと愛想くらい良くしたらぁー?」
「なんでお前に愛想よくしなきゃならない。」
「幼なじみじゃなぁーい。」

俺はこいつが昔から苦手だ。
独特の甘ったるい声を聞いてると頭が痛くなる。
何かあるごとに俺を巻き込む、厄介な奴だ。

こんだけ冷たく接しているのに、全然離れてくれない。
非常にめんどくさい奴だ。

「ただの腐れ縁だろ。」
「幼なじみですぅー!こんな可愛い子と幼なじみなのをもっと誇りに思ったらぁー?」
「はいはい。誇り誇り。」

俺が適当に答えると、ぷぅーっと頬を膨らませてむくれる夢香。

ほんとにめんどくさい奴だ。