いつまで待っても、
先輩は姿を現さなかった。


とうとう下校を促すチャイムが鳴って、
諦めて帰ろうかと、重い腰を上げた。

学校を出る前に、
公衆電話からでも、
電話をかけてみればいい。

そう思いながら。


そして1階まで下りて、
先輩のPHSの番号を押した。



何回呼び出し音が鳴っても、
誰かが電話に出る事は無かった。


ふと足元を見ると、
長い影が伸びている。

それを目で追うと、
長く、長く伸びていた。

神花先輩が居なくなった日のように。


さらに風が吹いているのか、
木の葉が揺れていて、
目の錯覚か、俺の影まで動き出しそうに見えた。



……帰ろう。

受話器を置いて、歩き出そうとした。


だけど最後に、
一体今日は何が書かれているんだろう。

もしも先輩に何かがあったのなら、
それはノートに、神花先輩に関係しているんだろうか。


そんな事を考え、先輩の教室に戻った。