次の日。
いつもの柔軟の時間、
安藤先輩は、昨日の影の話をした。
「佐野君は、異世界とか信じる?」
「……フィクションとしてなら」
自分がどうこうなるのは御免ですが。
そう答えると、
先輩は苦笑して、
まあいいか、と話を続けた。
「異世界みたいなものかな、
この学校の影に、
もう1つ、学校があるんだよ。
そこには誰もいなくて、
代わりに陰の存在たちがいるんだ。
それが昨日先輩たちの言っていた、
影の学校なんだ」
何だよ、陰の存在って。
そう思ったけれど、
口を挟まず続きを待った。
「そっちとこっちは、
背中合わせになっているけれど、
繋がる事はない。
時々、小さな隙間や、
もしくは影が繋がりを作る。
そうして人が、いなくなるんだ。
まあ、実際に居なくなったのは
今回が初めてみたいだけどね。
つまり、連れ戻すには、
どうにか繋がればいい訳だ」
うん。と自分で頷いて、
先輩は勝手に1人で納得している。
そして部活が始まった。