……少女の顔が、近い。
目を見開くようにして、
俺の顔をじーっと眺めてくる。
そうして俺にも彼女の顔がよく見え、
汚れさえいなければ、綺麗な顔だと、
そんな事を考えていた。
ドアの攻防戦を繰り広げながらも、
互いに顔の特徴を覚えたであろう程の時間
ふいに手を離した少女は、
そのまま上へと戻っていった。
まるで急に、俺に対して
興味を無くしたかのような表情で。
少女は居なくなったけれど、
果たしてすぐにここから出ていいものか?
まさか、出ていったら
襲ってきたりとか、しないよな?
嫌な想像を膨らませていると、
背後の電話が鳴った。