「お義父さん、私は元気と麻友を迎えに行きます。先に逃げていて下さい。」

元気の母親は、元気を抱きながら玄関で靴を履いていた。

「わかった…、気をつけて行くんだぞ。」

と、義父が返事をすると、元気の母親は、頷いてみせてから、小学2年生の娘を車で迎えに行く為に家を出た。

町の中には、危機管理課の近澤が呼び掛ける、

「津波が来ます。高台の避難所へ逃げて下さい……。」

という、防災無線の声が響いていた。