礼との本当の別れは突然で、みんなと海外旅行の計画なんかどこかへ忘れてしまうほどショックだった。


なにか不思議な感じがした。暖かい海の中にいる感じが。


『こんな悲しいことがあるなら僕も死のうかな…

死ぬことって無に帰ることかな?


それとも天国や地獄があるの?


死んだ後、怖いことか楽しいことかわからないじゃん。


じゃあ賭けてみる?死んでから楽しいと思って僕は死のうかな。


友達とけんかして傷つくことは嫌…友達が死ぬのも嫌…

死んで楽になりたい…礼を支えていけたかどうかもわからないし…


科学はこんなにも進歩してるのに…礼の病気だって治せないなんてさ…


科学は人間が生み出したもの…生み出す運命だったのかもしれない。

科学はどんどん進歩させているけど…仮に医学が今よりずっと進歩したら、人は死ななくなる?

人が死ななくなったら人が死んだ時の悲しさがなくなるよね…


人は一生生きられるようになるために医学は進歩し続けるの?


科学がこれからも進歩し続けたら、人は神様になれないけれど、

神様に近付こうとしているのかな?


進歩し続けるものをどこかで妥協しなければ、どこまでも進歩し続けるのかな?


礼の死…礼は僕たちの心の一部となったんだ。心ってあいまいで本当にあるかわからないものだけど、

心があると信じることは自由。

科学で説明できないことなんてこの世にはたくさんありすぎる。


僕たちが幼いころから信じていたのは科学が中心だったかもしれないけど…

それも今考えれば科学じゃないことはたくさんあるのに科学しか信じないことって

とても愚かな気がした。

他の文化を完全に拒絶することの愚かさ。



僕の心の一部になった礼はいつも僕のそばにいるんだってそう思えるようになるから』