(魔族だとぉ〜)

どうみても人間に見える相手(ましてや美人)にどうしても戦意を上げられないデイル。
ならばとリーナはセイレーンに向けて「フレアバースト」を唱えたのである。
爆炎がセイレーンを襲ったが、当のセイレーンは避けるわけでもなく、その炎に身を焼かれた…はずだった。
しかし、炎がおさまった後には、無傷のセイレーンがにこやかに立っていた。

「私にそんなの効くわけないじゃない。」

「………」

デイルは言葉を無くした。いつの間にか横に来ていたセリアも同様に言葉を無くしていた。
火系最強魔法が効かない、守るでもなく弾くでない、全く効かない相手をどうやって倒すのか。
魔族に普通の武器が効かないのは知っていたが、魔法も効かない。今、セイレーンを倒せる要素が見当たらないで悩んでいたデイル。

「デイルさん。セリアさん。私に時間を下さい。数分で良いので、 敵の注意を私からそらしてほしのです。」

デイル達はそれだけで納得した。そして素早く行動に移したのである。さすがは歴戦の傭兵であった。セリアはデイルに向けて素早さを上げる魔法を唱えた。それも二重詠唱で。重い武器を使っても素早く動けるのは、このサポートのおかげであった。
それを唱え終えると直ぐに今度は攻撃力増幅魔法を唱えた。これもやはり二重詠唱でである。

そもそも二重詠唱は2人で唱えるのが普通なのに、セリアは1人で唱えている。それを立て続けて2つもとなると、セリアもかなり技術が高い白魔法使いなのが伺える。