更に眩い光に包まれた瞬間、デイル達は失敗を恐れたが、包んでいた光が消えるとそこは、ほんの数分前にいたサリトの森の前だった。
反唱魔法が成功して一同はホッとしたが、リーナが普通の魔法使いでない事も同時に理解した。
トロルキングの攻撃を弾いた光の壁は、白魔法最上級防御魔法の1つ「絶対障壁」だった。そして、その魔法をセリアは唱えられない。

「君はいったい何者なんだ?」

反唱魔法をいとも簡単に成し遂げる技術、その技術にそぐわない外見、そして何よりも、黒魔法使いのはずが白魔法も使える不可思議。
デイルは聞かずにはいられなかったのである。そして、それは他2人も同じ事であった。

「サリトの森に着いたら…、着いたら話します。」

消え入るような小さな声でリーナは答えた。小柄な少女はその身を固くし、可愛らしい瞳にはうっすらと涙も溜めていた。

それを見たデイル達はそれ以上の追求をする事が出来なかった。そのかわり、

「ま、結果的にリーナのおかげで帰れたんだからいいか。それより、本当入り方を教えてくれ。」

それを聞いたリーナははにかみながら、

「ありがとう。」

と小さく答えた。