ふと、お腹がすいている事に気付き、魅麗は、ステンドグラスの部屋を出た。
万華鏡の余韻に浸りながら、キッチンを探す。
茶色い木目調の重厚なドアがあったので、何気無く開けてみた。すると、大きなシャンデイラと広い大理石のテーブルが、魅麗の目に飛び込んできた。
「わぁ広~い」
魅麗は、部屋に入る。「この部屋もまた凄いわ。三十人は座れそう」
見渡しながら、ふと思う。
「怜樹って、凄いお金持ちの子息?そう言えば、絵の勉強をするためにフランスへ来た事しか知らないわ。お互いそうだけど、家族の事とか話したことないしね」
魅麗は、そう呟きながら、キッチンを探した。
「雰囲気的に、ここだと思ったんだけど…」
この部屋ではなかったのかと思いながら、魅麗は部屋を出ようとしたが、扉で仕切られた様な場所があったので、開けてみると、
「あった!」
檸檬色のキッチンが現れた。
広くて使いやすそうなキッチンに、魅麗の心が踊る。
魅麗は、色々と見てみたくなって、いろんな棚の扉を開いた。
お洒落な食器が沢山あったり、シャフが使いそうな器具など、見たことのないものも沢山あり、魅麗は、びっくりさせられた。
冷蔵庫もあった。開けると、真空パックされキチンと個分けされた食材など、色々入ってあった。今入れたばかりの様な新鮮な青野菜もある。
「けっこう入ってる~自炊してるって事?あ、まさか、シャフがいる??」
そんな事を言いながら、魅麗は、何を作ろうかと考えた。
「あ、冷蔵庫をずっと開けたままじゃよくないわね」
そう言いながら、とりあえず冷蔵庫を閉める。
何気無く他に目をやると、冷蔵庫の横の棚には、パスタやドレッシングがあった。細長い棚には、調味料が沢山並べられてあった。
「まるで、レストランか専門店の様ね」
魅麗は、微笑んで、キッチンを見渡しながら、
「よし、決めた!」
早速、料理を始めた。


その頃、怜樹は目を覚ましていた。
そして、横に魅麗の姿がない事に気付き、起き上がり、姿を探す。
「下にいるのかな」
怜樹は、呟きながら服を着ると、ゆっくりと下へ降りていった。