魅麗は、お姫さまだっこをされた状態となり、ぐっすりと眠ったままの彼女は、怜樹に、自然と寄りかかる様な体制になった。怜樹は、しっかりと両手で魅麗を抱き、受けとめる。そして、ゆっくりと歩きだした。真っ白なシルクの敷かれたキングサイズベッドまでいくと、魅麗を、ゆっくりとおろし、優しく横たわらせた。ふんわりと、彼女の体がベッドに沈む。全く起きる気配はなく、気持ち良さそうに、寝入っていた。
怜樹は、ベッドの端に腰かけ、魅麗を暫く見つめていた。眠っていない怜樹は、少し眠気を感じ、腰かけたまま、体を倒し、シルクのベッドに体を委ねた。横になると、すぐに眠ってしまうと思っていた。しかし、全く眠れない。さっきの眠気は何処へいってしまったのかと思うほど、怜樹は、寝つけなかった。胸の鼓動が、速くなっていく事に気付く。怜樹は、それを消し去る様に、ベッドから立ち上がった。その振動に、ふと、魅麗が目を覚ました。怜樹は、それに気付かず、窓の外でも眺めようと、魅麗から離れた方へと歩きだした。そんな怜樹の姿を見付け、魅麗は、まだつぶらな寝起きの眼で、声をかけた。
「おはよう」
なんとなく聞こえた声に、怜樹は振り向く。
「あぁ。おはよう。起こしたかな」
怜樹は、歩みを止め引き返し、魅麗に近寄った。
「何処かへ行こうとしてたの?」
「ううん。ちょっと、向こう側に。外が見たくなってね、魅麗の側のカーテンを開けたら、眩しいだろうと思ったから」