「当てた光の色に反応して、その光の色によっていろんな色彩を出す、特殊な絵の具なんだよ」
「へぇー!あっ、それで、だから、さっき色が変わっのね!」
「うん、そう。魅麗が目をつぶっている間に、当てる光の色を変えたんだ」
「そうなんだぁ。へぇー……、不思議。こんな絵の具があるんだぁ…知らなかった。光を当てた後、その光を消すと暗闇に浮かび上がって、しかも光の色によって色が変わるなんて……。びっくりしたよ……」
魅麗は、びっくりしすぎて、口が開いたままの様子で立ち尽くしていた。怜樹は、そんな魅麗に、他の色も見せてあげようと、次々にゆっくりと光の点灯を変えた。赤い光、青い光、緑の光、オレンジの光、ピンクの光、茶色の光………。点灯を消した後、その都度、違った色で暗がりに浮かんでくる宇宙の絵に、魅麗は、絵の宇宙の世界へと、引き込まれて行った。
「見疲れたでしょ」
怜樹が、魅麗の側に木製の揺り椅子を置いた。
「ううん、疲れないわ。この絵が楽しくて仕方ないですもの」
魅麗は、怜樹を見つめて、満面の笑みで微笑んだ。
「そっか」
怜樹も魅麗を見つめ、微笑みを返した。そして、徐に、絵を描く準備を始めた。それに気付き、魅麗は、そっと見る。
「あっ、その椅子に座っててね」
「あ、そっか…私の絵を描くんだったね」
「うん。リラックスして座ってて」
「うん…」
魅麗は、そっと、揺り椅子に腰をかけた。