真っ暗な天井に、何かが表れた。
「あっ…」
魅麗は驚き、声を出す。見ていると、天井一面が真っ青になり、描かれた惑星が次々に表れてきた。それは、いくつも表れ、どんどん立体的になっていく。そして、はっきりと姿を表し、真ん中に表れた地球を中心に、今にも動き出しそうな、ゆっくりと回り始めそうな、それほどリアルな絵だった。
「凄い……」
魅麗は天井を見上げたまま呟き、開いた口が塞がらない状態になっている。すると今度は、絵の端の方に、小さな何かが浮かび上がり、それが一気に複数となり、流れる星くずとなって表れた。
「わぁー綺麗!」
真っ青の中に、惑星、星くず、銀河………。宇宙が、天井で輝いていた。魅麗は、ただただ驚愕し、感動し、感激していた。
「素晴らしいわ!これも怜樹が描いたの!?」
「そうだよ、勿論」
「貴方凄いわ!天才!才能があるのね!」
魅麗は、とても感心した。怜樹は、照れくさそうにして、微笑んでいた。
「そんなに感激してくれて、嬉しいよ」
「するわよ!凄すぎるもの」
「有難う」
「凄いわぁ…。天井で宇宙が光ってる」
見とれている魅麗に、怜樹は、
「魅麗、ちょっと目をつぶってみて」
と言った。魅麗は、言われるまま、下を向いて目をつぶった。何でだろうかと、期待感やドキドキしながら待っていた。
「いいよ、見上げて」
怜樹の声に、魅麗は、再び天井を見上げた。
「わぁ……どうして…」
絵の色が変わっていた。
「色が変わったよね?どうして?」
魅麗は、目を丸くしている。怜樹は、得意気になった。
「え?変わった?」
「変わったよー」
「そっか、変わったか。何でだろう」
「えー!本当は知ってるのにー。教えて」
「聞きたい?」
「聞きたいわ!」
魅麗は、真剣な眼差しで目を輝かせて言った。
「これはね、特殊な夜光絵の具で描いたんだ」
「特殊な夜光絵の具?」
「そう」
「なぁに、それ。普通の絵の具と違うの?」
「うん、違う。この絵の具は、まだなかなか売られてないんだけど、優れものなんだ」
「優れもの…?」
「うん。光を当てた後、暗闇に浮かびあがる」
「へぇー…」
「それだけじゃない。当てた光の色によって、絵の具の色が変化するのさ」
「色が変化する?」
「そう」
「どういう意味?」