真っ暗な中に、宙に浮いて光る、絵画が見えた。

綾と修は、駆け寄った。
そして、絵画の近くに行った。

「わぁ……」

絵を見上げる。

真っ暗な中に、巨大な絵画が、浮かんで光っていた。

「あぁ、だから、暗くなってからって言ったんだね」

修は、綾の言葉を思い出す。

「うん、そう。魅麗さんから聞いていて。でも、こんなふうには想像できてなかったから……」

綾は、言葉を失う。

あまりの輝きに、目を奪われた。

「うん、そうだね…これは、どうして?…」

修も、あまりの驚きに、溜め息交じりに言う。

「あ…、建物外壁に描かれてある」

「ここが、美咲 怜樹のアトリエ…?」

「そう、みたいだね」

「壁に描かれてあるんだね。絵だけが光ってるから、絵が、浮かんで見えたね」

「うん…びっくりした」

「それにしても、何で、絵が光っるのだろう。どうなってるんだ?この絵」

修は、とても不思議に思い、外壁の壁画を、見つめる。
離れて見たり、近くに寄って、細かく観察したり。

「さっぱりわからない」

修は、諦めて、考えるのを断念した。

「わかんないね」

綾は、少し離れた場所から、目を丸くして、絵を見上げていた。

修も、絵から離れて、綾と並んで、絵を見上げた。

二人、並んで、巨大な絵画を見上げていた。

絵画は、悠然と、暗がりに光る。


「絵の具が光ってるみたい…」

ふと、修は、呟いた。

「あぁ……ホント」

綾は、なるほどねと思い、絵に見入っていた。

「正解!」

突然、別の声がしたので、二人は、大変驚いた。