「たぶん~…宇宙って、こんな感じかも」
魅麗が、ひとりほくそ笑む。
「え~どんな?」
「え~~~?」
魅麗は、怜樹の問いかけに悪戯っぽくはぐらかしながら、部屋の中を歩きだした。
「何~?聞かせてよ~」
「内緒~」
魅麗は、悪戯っぽく笑った。
「何で~?」
怜樹は、真顔になって尋ねている。魅麗は、そんな顔をしている怜樹を見て、微笑みながら、部屋の中にある一枚の絵を手に取った。そして、満面の笑みを浮かべて言った。
「こんな感じ!」
魅麗が手に取った絵は、怜樹が描いた宇宙の絵の中でも、特に大きなキャンバスの絵で、そこには、真っ青な宇宙空間の中に、いくつもの惑星がきらびやかに浮かび、遊泳し、地球を中心に、今にも動き出しそうで回り出しそうで、立体的で、そして、銀河が流れる様に浮かび、星たちが無数に散りばめられ、とても美しく、眩しいほどに輝いていた。
「そっか」
怜樹は、安堵した様に微笑んだ。
「うん」
魅麗は、絵を抱きかかえ、じっと絵を見つめていた。あまりにも美しくて、絵に、吸い込まれそうだった。そんな魅麗の姿を見て、怜樹は、言った。
「それ、あげるよ」
怜樹は、今まで恥ずかしくて、自分の描いた絵を誰かにあげる事なんて一度もなかったけど、魅麗が、あまりにも嬉しそうに絵を見つめていたので、あげたい気持ちになった。
「えっ、そんな、…、いいの?」
大切なものだろうと思っていたので、魅麗は、遠慮気味に言う。
「うん。喜んでくれる人にもらってもらえるなら」
「わぁ…、ありがとう。大切にする」
魅麗は感激し、絵を抱え、とても嬉しそうに笑った。