*** 今日は、8月にしては涼しかった。 今頃みんなは受験勉強でもしてるのだろうか。 すこし空けた窓から入る風が、俺の髪を揺らした。 ユリの香が俺の鼻をかすめる。 その時。 ――ガラッ… 病室のドアが開いた。 …母さん? ゆっくりとドアの方を見た。