数回コールで出た壱夜が呑気な声で『なんですか?一日に何回も電話してくるなんて珍しいですね』と言う。


壱夜が妙に呑気な敬語口調で話す時は大体気を紛らわそうとしているときだ。



「今日、変な情報が入った」



そう言うと、黙ってしまった壱夜に顔を少し顰めた。


壱夜が黙ると妙に気持ち悪く感じながら、話しを続けた。



「小百合って奴が雛乃を狙ってる可能性がある。俺も気をつけるがお前も雛乃から目を離すな。なんか情報が入り次第お前にも教えっから。」



一気に捲くし立てると妙な緊張感に包まれた会話。



『俺も臣に調べさせますね?どうせ俺たちに近づこうと考えてる馬鹿な女なんでしょう?雛乃に手、出したらそのときは男だろうが女だろうが容赦なくぶっ潰す…ただそれだけだ。』



低く言い放ちながら途中から敬語が無くなった壱夜に笑みが零れた。



「ククッ…久々にお前が敬語使ってないの聞いた気がすんだけど?」