「小百合って女が俺の周りをチョロついてんだけど、“唯崎雛乃”が狙われる…かも」



“唯崎雛乃”と聞いて、不意に眉を寄せた。


ここで雛乃の名前が出るのは予想外だった。



「お前の取り巻きに、なんで雛乃が狙われる?」


「俺に近付いてきたのは、お前等2人にお近づきになれるかもという望みで。…狙う理由は嫉妬と逆恨みってヤツ。白雪壱夜とお前を独り占めにしてるのが気に入らないんだとさぁ。まあ、噂で広まってきて他の奴に直接、本人のところ行かせて確認取らせたからマジ話よぉ」



せっかく、雛乃が狙われないようにと壱夜とわざわざ正体を隠して学校生活を送っているのに…。


なんで、その小百合とかいう女に日常生活を壊されなきゃいけねぇんだよ。



「小百合何か行動を起こす事はわかってるから。後はどうするか、蓮夜と白雪壱夜に任せるよぉ」



「じゃあねぇ」と言って、踵を返す生都に「待て」と声を掛けた。