苛々しながら歩いていると視界の端に見慣れた茶髪が見えた。





臣は話に夢中になっているようで俺のことには気づいていない。




よし、こいつで遊ぼう…と思い静かに近づいていくと臣は電話中



聞こえてくる臣の声に耳を澄ませた。


『……蓮夜も鬼畜やなぁ』


なるほど、相手は蓮夜か…臣のやつ何考えてんだ?





『おん、そや。壱夜が今日なぁ、白桜で悪戯してた不良のガキ等とリーダーの椎名隼を絞めたん。でなっ、でなっ!その時の壱夜の極悪非道、鬼畜にあのドSの顔っ……』



その言葉を聞いて俺は臣の腹を勢いよく殴った。




咳払いをし床に落ちた携帯を拾い上げる。



『朝ぶりですね、蓮夜』



「…あぁ。つか、その気持ち悪りぃキャラなんとか何ねぇのかよ」


『無理ですよ。定着キャラですし…何より気に入ってますから』



口元が静かに孤を描く。



「ふっ、なら仕方ねぇか…。で、お前が電話なんてどう言う風の吹き回しだ?」


『そちらに椎名隼の兄弟いますよね?』


ぐちゃぐちゃにして投げ捨てた資料の中に


黒桜に椎名隼人の弟が居るのを知り一応蓮夜に聞いておく。


「あぁ…コイツなら“生徒会からの注意”をしに行くつもりだ。」



何事もないようにサラッと言ってるけど


自分の顔見てみろよきっと俺とかわらない鬼畜な顔してるから



そう言いたいのを我慢して俺は続けた。


『あ、そうですか。なら、問題ないですね。あと…』