私達が着いたのは山梨県。



目的は秋にピッタリの果物狩り。



山梨は綺麗な紅葉に包まれていた。


『朱莉転ぶなよ』



[うん。]



『そう言いながらも高弘はどんどん奥に1人で進んで行った』



靴に落ち葉が絡みつき上手く前に進めない


【お母さん、お母さんあれ取って。あのおっきいやつ】


【はいはい。今お父さんがとってくれるからね】

【ほら。翔太食べてごらん】


【おっきいのおいしいよ】


私にはもちろんあんな家族のような思い出はない。


そもそも家族全員そろったことがない。



母を許そうと思ってみたがあんな家族を見るとどうしようもない寂しさが襲いかかる。



『朱莉大丈夫か?』



[ごめん。疲れちゃって]



『じゃこれ食べな』


高弘はたくさんの果物を両手に抱えていた。



『俺がかわりに取ってくるから朱莉は休んでなよ』



[ありがとう。でも一緒に食べよ]


[二人で食べてまた二人でとりに行こう]


『そうだな』


あっという間に時間はたち

私達はたべきれなかった果物をお土産にして


ホテルに向かった。


ちょっと老舗風の旅館で初めての懐石料理に大きな露天風呂。


こんな機会は滅多にないとフルコースのマッサージまでうけた