僕が目覚めてから、1ヶ月が経った。
僕は今日退院する。
「大丈夫っすか?」
「うん。もう平気」
毎日毎日、子猫達が交代でお見舞いに来てくれた。
たまに母さんが来てくれて、チョコケーキを差し入れしてくれた。
学校には事故に巻き込まれたから入院している、ということになっているらしい。
だからたまに同じクラスの人が来てくれた。
僕は女だとバレないように、必死だった。
「…玖音さん。今日も来ませんでしたね」
「うん‥」
「すみません‥。玖音さん連れて来れなくて…」
子猫達は申し訳なさそうに、頭を下げた。
「気にしなくていいよ」
僕はそんな子猫達に、優しく微笑んだ。