『お前にはまだ早い。あの扉を開ければ、元の世界に帰れる』
『…いいの?開けて』
『あまりよくないが、お前にはここにいる資格がない。だから帰れ』
『…わかった。帰る』
僕はゆっくりと歩きだした。
『お前はここの存在を忘れる。俺と会ったことも、話したことも』
僕は振り返った。
だけど、もうそこには死神の姿は無かった。
『覚えておく必要がないからな。忘れろ。この空間での出来事を』
声だけが、優しい声だけが…静に響いた。
僕はゆっくりと、扉に手をかけ、静かに開けた。
パアァァァッと‥
とてつもない光が
僕の身体を包み込んだ。