「或」

「なに?」




僕は或をみた。


或はお腹を押さえながら、キツそうに立っている。




「……もう直ぐ‥お別れだね」

「‥あぁ」



或は何かを感じ取ったみたいだ。


真っ直ぐに、僕を見据えている。




「僕を恨んでいいから」






僕は拳を握った。



とても強く、握った。




或はそんな僕を見て、フッと笑った。