「…なんで、父さんは浬音に‥?」

「親父さんはアンタのことしか‥愛していないから」

「嘘だ。父さんは浬音もちゃんと愛していた」



玖音の言葉に、或は溜め息をついた。



「……玖音さんも、平和ぼけしてますね。‥浬音は親父さんからいつも言われていた『お前は玖音を守るためだけの存在だ』って」





玖音は大きく目を見開いていた。




「アナタは浬音の痛みを知らない。浬音はもう戻れない」

「っ‥」



僕はギュッ‥と、或の服をつかんだ。



「どんなに足掻いても…」