「これが親父さんとの契約」

「‥契約?」

「えぇ」



玖音の問いに、或は短く答えると、僕をしっかりと抱きしめなおし、口を開いた。



「…浬音は自分を玖音さんだということにし、仕事をした」

「…っ…身代わりじゃんっ」



半泣き状態の魁ちゃんが、かすれそうな声で言う。



「学校に通っている玖音さんを浬音と他の奴らに言った」

「…まさか」



玖音は何かに気づいたような顔をしている。



「浬音のおかげでアンタの周りからは族が消えたはずだ…全て浬音がアンタを守るためにしたことだ!!!!」




或はそれだけ言うと‥


僕の身体を抱き上げた。





「玖音さん……俺はアンタを恨まない。浬音が決めたことだから」

「或‥」

「だけど‥黒猫を解散させたアンタは嫌いだ」




或は玖音を睨みつけた。