「浬音」

「‥はい」

「学校内で何かあったら、必ず玖音に言うんだぞ」


父さんの言葉に僕は頷いた。


父さんは優しく微笑むと「言うの忘れていたが全寮制だからな」と言った。


「「はい」」


僕らは父さんが手を挙げたのを見てから一礼をし、部屋を出た。


「玖音様、浬音様。学校までお送りします」

「あぁ、頼む。行くぞ浬音」

「うん」


僕らの世話係、箔(ハク)さんが学校まで送ってくれるらしい。


僕らが車に乗ると、箔さんが運転席に乗り、車を発進させた。


車を30分くらい走らせると、大きな門が見えてきた。


「ここが黒駕高校です」


箔さんは門の前に車を止めると運転席から降り、ドアを開けてくれた。


「ありがとな、箔」

「いえ。玖音様いってらっしゃいませ」

「箔さん、またね」

「浬音様、いってらっしゃいませ」


僕らはお礼と別れを言い、大きな学校の中に入った。


「大きいね‥」

「あぁ。浬音、理事長室に行くぞ」

「うん‥玖音、手繋ご?」

「あぁ」


玖音は少し微笑むと手を繋いでくれた。