「りー。今日は俺、大事な用事があるので、ここでお別れです。気をつけて帰って下さいね」
或は最近、僕を「りー」と呼ぶようになった。
「うん。わかった」
「何かあったらメールして下さい」
「或もね」
或と別れ、僕は1人で家に帰った。
「「「お帰りなさい。浬音嬢」」」
玄関を開けると、いつものように、父さんの手下たちが出迎える。
「ただいま」
僕は挨拶を返し、自分の部屋に向かった。
今でも玖音と同じ共有の部屋だけど、とても虚しく感じる。
楽しい思い出の部屋は、僕を悲しくさせる。
「…未練…なのかな?」