「起きろ‥浬音」

「んぅ‥」


玖音の透き通る、優しい声が降り注ぐ。


僕は朝が苦手‥
いつも玖音が起こしてくれる。


今日は玖音にいつもより早く起こしてもらった。
僕は女の子だから男装をしなくちゃいけない。


「浬音、制服に着替えろ」

「‥うん」


僕はまだ眠い目を擦りながら、玖音と同じ男子の制服を着る。


ふと僕と同じように着替えている玖音が目に入った。

玖音の制服姿は、凄く格好良くて、ドキッとなった。


玖音は凄く似合っているけれど‥僕は制服のサイズが合ってない。

丈はいいけど‥横幅が大きい。


「‥浬音には少しデカいな」

「‥うん」

「でも可愛いよ、浬音」


玖音は小さく微笑むと、優しく僕の頭を撫でてくれた。


「僕‥可愛くない」

「…無自覚。浬音以上の女はいねーよ」

「‥いっぱいいる」


玖音は少し苦笑いしていた。

僕より玖音の方が‥笑うと可愛い。

ちょっとだけ、複雑な気持ちになった。