「さーて!席つけよー?」

ガラガラとドアを開け、見るからに気合いの入ったセンセーが来た。

「俺……先生は…君達の担任ではないからなっ…?」
わざと泣き真似をして教室中の生徒を笑わせた。

――俺の隣にいるあの女…。
最悪な事に、俺の名前は桜井 禀(リン)で席が近い。

「ねぇ。」
女は、俺の方を凝視しながら言った。

「………。」
こんな俺でもあんな整った顔立ちのいい奴に見つめられると、少しはドキッとするもんだ。

「ねぇってば…」

女は俯いて寂しそうにしていた…ていうか、そう見えた。

ふぅ と小さく息を吐き、少し気が緩んでいた。

‘ツンツン’

「っ……なっ…」

俺の服の袖を掴んで上目遣いで見てきた。

「君が返事してくれないからだよぅ…?」


キモッ…!

思わず言葉に出そうだった。
「おいおい。先生の前でイチャラブするのもいいが、2人で居たほうがいいんじゃないか?」

ニヤニヤ笑いながら「これから入学式だから並んでおくように。」と指示してセンセーは教室から出ていった。

俺はすぐさま屋上へ行こうとした。


「ねぇ。」
まただ。
くそ女め、

「名前教えて?」
「禀…」

それだけ言って去ろうとした…が……

満面の笑みで笑っている、女や男共……