「義実も強いよ。あの美人先生のために、自分の気持ちを伝えなかった。人を思いやれる気持ち、義実もちゃんと持ってるから」

「……ありがとな、倉本」


呟いて、ガタリと席をたつ。

「どこか行くのか?」と、倉本は首を傾けた。


「帰るんだよ。どうやら俺を待っている奴がいるみたいだからな」


そう言って、職員室の廊下側の窓に視線を向ける。

そこには、コソコソと隠れているつもりなのだろうが隠れきっていない頭が一つ。


「隠れてないで出て来い、森沢」


ビクッと、その頭が跳ねた。