「それ、は……」

「実はあの時俺も近くにいたから聞いてたんだよ、校長室の中の話し」


俺と先生の関係が学校にバレて、先生は校長室へと呼ばれた。

その時、先生は校長から言われたんだ。


『別れなければ、倉本くんを退学処分とする』


だから先生は、俺に迷惑だと言った。

俺と別れるために。

俺を退学処分にしないために。

俺の、ために。


「義実のための、酷い言葉。それを言うのに、あの美人な先生はどれだけ辛かったか……。それを分かっていた義実は、自分から引き下がった」


俺が愛してるなんて言ったら、先生はもっと酷い言葉を俺に言ってくるに違いない。

俺と別れるために。

だからそれ以上、先生に酷い言葉を言わせたくなかった。

そんな言葉たちを言うたびに、辛い顔をする先生。

もう、そんな辛い顔をしてほしくなかった。