婚約者……雪ちゃんは、 優しく抱き締めていた力を、少し強くした。 「でも、でもね、 私は、慧斗のモノになりたいの。」 ひとつ、またひとつと、一度流れた涙は止まることを知らない。 「佐野ちゃん……。」 「雪ちゃん。」 「ん?」 「あの……、」 私が口を開きかけたとき、 「ストップ。」 雪ちゃんに遮られた。 「??」 「先に、俺が話してもいい??」 雪ちゃんは、ニカッと笑って、私に問いかけた。