「佐野ちゃん!!」

「うるさい!!!!!!」


私は不安定な感情で、
婚約者に怒鳴った。


「私は……、もぅ、」

「……、」

「ねぇ、未来の旦那様?さっき、私と王子のこと、聞きたいみたいだったわね。」

「佐野ちゃん……?」


言葉がつらつらと口から飛び出す。


「別れてる。私がフラれたの。

だから私は、慧斗のモノじゃないの。」

「……。」

「慧斗のモノじゃ……ッぅ、くッ……、」


さっきから必死で堪えていた涙が、ついにこぼれ落ちた。