「ぁ、佐野ちゃん……って、なんかあった?!」


婚約者は、私の顔を見て、驚いた顔をした。


「なんも……。」

「嘘。絶対なんかあった。」

「ほっといてよ……ッ!!」


私は婚約者の腕を払った。

グイッ。


「ちょ、離して。」

「離さない。」


婚約者は私を抱き締めた。


……違う。

この香りじゃない。


私は抵抗するけど、離してくれない。