「それはあり得ねーな。」


私はいつの間にか俯いていた顔を上げた。

慧斗は優しく笑って、私の頭を撫でる。


「俺は、愛実しか見えてねえし、愛実に勝てる女なんていねぇよ。」


慧斗は私の頬に伝っていた涙を、舌で拭き取った。


「でも、取り巻きの女子様は、みんな綺麗で、可愛くて……、私なんて不細工だよ??」


私がそう言うと、慧斗ははぁー。とため息をついた。


「無自覚女め……。」

「え?」

「なんでもない。」


なんて言ったんだろ…。