食べ終えて満足そうに立ち上がった隣の男にしたがって、

私も立ち上がった。



「また会えるよ。君はすぐに僕を見つけられる。」



憂と呼ばれた男の人にそう言われて、

私は頷いた。


そりゃそうだ。


こんな強烈な魂、
そうそういるもんじゃない。


女の人が「誰?何なの?」と彼に問い掛けているのを、
背中で聞いた。




「どこ行こうか。」

人込みの中、

男の腕にしがみついてその問いを聞いた。



「家に行こう。人込み疲れた。」


私の言葉を聞いた男の魂に
欲望の色が混じったのを見て、

私は微笑んだ。



正直な、
嘘をつけない人だ。



私の濁っていく魂を浄化する

透明な人。



だから、別れられない。


私は他に、

リセットの仕方を知らないから。