電話を切った彼は、ふっと息を吐いた。
「お呼出し?」
私の問いに彼は頷いた。
「面倒だけど行くしかない。」
不機嫌にそう言った彼の表情は特に不機嫌には見えない。
声だってトーンは変わらない。
外から見れば、
クールで整った顔立ちの、
やけに目を引く男性だ。
モテるんだろうと思う。
魂の強さはそのままオーラの強さだ。
人を巻き込んで、
捕らえて、
離さない。
私はそれが見えているのに、
その渦から逃れられないでいる。
隠された感情の起伏が見えるから、
よけいに質が悪いのだ。
魅かれてしまう。
それが、悔しい。