「君は現実にいる時のほうが少ないね。」



不意にかけられた声に、

上げかけた悲鳴を手で押さえ込んだ。



振り返ると、
白衣を着た彼がそこにいた。



「いつだって夢見心地なのが女子高生の特権じゃない。」



答えになっていない答えを返した。


それで彼はきちんと理解したようだった。



話すならここ以外で、と。



私は開いていただけの本を棚に戻すと、
図書室を出た。