「神代教授によろしくお伝えください。」
野崎教授がそう言ったので、
私は頷いて微笑んでみせた。
立ち上がった時、
彼と目が合ったけれど
彼も
私も
何も言わなかった。
彼の魂の靄が私を包んでいた。
あれだけ目障りだった
この場に集う若い魂からの干渉も、
目の前の歪んで濁った精神科医の魂からも、
私を守ってくれているようにかんじた。
真綿で包む、
なんて生易しいものではなくて、
四方を分厚いコンクリートで取り囲まれているような圧迫感だったけれど、
色んなものを感じすぎてしまうよりは
全然マシだった。