私は
何も覚えていないかのように両親の元に戻ったけれど、

それ以来、

この二人を信じる事はなかった。



この二人を愛しているふりをしていた。



今もそうだ。


いまや、
かなり丸くなって

ただのお人よしで
気さくな夫婦になっているけれど。


あの穏和な笑顔の奥に、

あの頃の
狂っているとしか思えない薄笑いが
隠れているのだと思っている。


実際はそうでなかったとしても、

植え付けられた傷は消える事はないのだと思う。


いつまでも血を流して、

決して癒える事は無い。