マンションの門前で、バイクがゆっくりと停車した。


「ありがと。」

そう言っておりようとするアタシの手を・・・


「待って。」

那智が掴んだ。



「どうしたの?」

首を傾げて、那智の前に立つ。


「・・・・・・。」

ハンドル部分に顔を乗っけて、上目使いでアタシを見たまま、何にも言わない。


「ど、した・・?」

まったく・・・
どうしたんだろうか。


アタシはまともに那智の顔が見れない。



「はぁ~・・」

深くため息をついた後、
何を思ったのか那智はアタシの手を強く掴むと・・・



「・・・っ!」

自らの心臓に運んだ。


那智の心臓の音。


アタシの手のひらにハッキリと伝わる。


ドキドキドキドキ


凄いスピードで何度も繰り返し響く。


ドキドキドキドキ



あれ?


違うのかな?


これはアタシの心臓の音かなぁ?



アタシはそっと那智を見上げる。


那智は目を細めて言った。



「お前のせい。」