ふいに、高貴と目が合う。
「・・・・・。」
「・・・・・?」
でもすぐプイッとそらされてしまった。
何かしたのかな。
何だかこの前から高貴の様子が変だ。
日がすっかり落ちて、辺りが暗闇に包まれた頃。
皆がそれぞれに立ち上がり帰る準備をした。
バイクのエンジンをかけたり、ブレザーを羽織ったり
アタシと美咲が並んでそんな皆に手を振った時。
「おくってく。」
高貴が美咲の手を取る。
「えぇ?!」
驚いて声を上げる美咲を無視して、高貴は引きずる様に美咲を連れて行ってしまった。
「・・・・。」
唖然。
珍しい事もあるもんだ。
いつもは大抵面倒がって「電車で帰れ!」とか言ってるのに。
そんなアタシと同じく、二人の後ろ姿をジーッと見つめてる人物が居た。
那智だ。
「「じゃーな」」
「明日ねぇ」
そんな声が聞こえる中、那智がアタシを見て微笑んだ。
「仕方ないからおくってってやるかぁ~」
優しい溶けてしまいそうな笑顔。
まだ顔には少し傷が残ってる。
でも夕日を浴びたその綺麗な顔は・・・・いつもより美しくて、何だか切なかった。