「まだ落ち込んでんのかよ?」


見上げると、高貴が苦笑いしてアタシを覗きこんでた。


屋上の床に寝そべったまま、煙草の煙りをスーッと吐く


「クビだって。」

「はっ?」

寝転んだアタシの横に腰を下ろすと、キョトンとした顔でアタシを見る。


「学校でもクビってあるんだねえー」


「・・・・お前、それ退学だろ?ノンキな事言ってる場合かよ?」


真面目にそう言うから、アタシもつい真面目に答えてみる。


「でもさー働いた方が早く家出れるよね?」

「あーまぁな。」

「んじゃいいわ。」

「は?」

「いいよ。早く出たい」

「・・・・・」

そう言ったアタシに、高貴は何も言わなかった。


深く突っ込んで聞かない所が、高貴は大人だと思う。


これが竜とか雅なら、面白がって突っ込むだろう



「でもさー、高貴とこうしてサボれなくなると思うと寂しいねぇ」


「・・・・・」


「一緒に居る時間減っちゃうね。」


素直にそう思った。


なのに、

アタシが笑いかけると、高貴は顔を背けて呟いた。


「お前・・・・そうゆう事を簡単に言うな。」


「・・・・え?」


アタシが体を起こすと同時に、高貴が屋上を出て行く。


「高貴っ!!」


背中に呼び掛けても、
何の返事もないままドアが閉まった。



アタシはア然としたまま、そのドアを眺めていた