「君!!大丈夫か?!」


慌ててその警官が那智に駆け寄る。



「あぁ。こいつお願いします。」


意識がなく、ぐったりした様子の祐樹を背中から慎重に抱きかかえると、何人かの警察官と救急隊員で運ばれていった。



「那智・・・・」


虚ろな瞳にうつったのは、優しい那智の微笑み。



「ちゃんと連れて帰らなきゃ、お前の母ちゃんに殺されるからな。」


そう言うなり、膝をついてアタシを抱きしめた。



「・・・・・。」


サイレンの音。

ざわめく声。




アタシは那智に体を預けて、そのままギュッと目を瞑った。