「何これ?」

怪訝な顔で掴んだアタシの拳に視線を落とす。


拳の皮は固くなり、痂になりかけの血液が付着している。



「ちょっとした怪我」



「・・・・・・」


そう言ったアタシを、無言で睨みつける。


元々綺麗な顔だからだろう。

こうゆう顔は多分倉木の中でも1番怖い。


「・・・苛ついて壁殴った・・・」


たまらずに俯いて白状した。


我ながらかっこ悪い。


きっと笑われる


そう思ったのに・・・




「・・・・え。」



傷口に柔らかい感触。


那智が傷口に唇を押しあてて、上目づかいでアタシを見てた。


「頼むから、無理しないでくれ。」


「・・・・・」

さっきとはまるで違う、優しい表情。


ドクンッ


何だろ


おかしい。


心臓が大きく震える音が響く。