バコンッ!!


「いてっ!」

慌てて振り返ると渋い顔をする。



「何ふてってんの?」

喧嘩でもしたのか。



「別に・・・・」


「・・・・。」


意外。


高貴でもこんな顔すんだぁ。


顔立ちも大人っぽいし、無駄にガタイが良い分、こんな子供っぽい顔しないと思ったんだけどね。



「まぁいいや。もう行く。」


「はっ?」


アタシが背を向けて歩き出すと、すぐに背後から高貴が叫んだ。



「愛美っ!!」


「・・・・。」


振り返ると、高貴が妙に神妙な顔つきで口を開く。



「お前さ!お前、那智の事好き?」


「好きだよ?」

突然何かと思ったら。



「へ?」

高貴は自分から聞いといたくせに、キョトンとした顔をした。


「何だよ!こんな時に。」

ふざけすぎるといくら高貴だって怒るぞ?



「あ・・じゃあ俺は?」

恐る恐る言った高貴に、もういい加減ムキになって答えた。



「だからっ、好きだって!」


「・・・・・。」


バンッ!!


勢い良くドアを閉める。



口をつむんだ高貴を置き去りにして、アタシは由美に会うべく、教室へと足を進めた。